Netflix『エージェントキム』全10話感想|原作『部長K』勢、これシーズン2期待してええやつ?
Netflixドラマ版『部長K』、全10話完走しました。
結論から言うと、
思ってたより、めちゃくちゃ『部長K』してた。
正直、ミンジ救出編を軸にした“韓国版96時間”くらいを想像していた。
娘がさらわれ、普段は冴えない父親が実は国家レベルの人間兵器でした。犯人、終了。
……だいたいそういう話やろ、と。
ところがこのドラマ、ミンジを救出するだけでは帰してくれなかった。
原作の過去編まで混ぜてきたのである。
そこまでやるなんて聞いてない。
途中からソファで姿勢を正して、完全に原作履修者の顔になっていた。
『エージェント・キム リアクティベーティッド』全10話感想
『部長K』は、『外見至上主義』のスピンオフ作品。本編にも登場するキム部長が主人公です。
ドラマで描かれたのは、原作でいうミンジ救出編〜過去編あたり。
▶ ミンジ救出編(13〜20話)
▶ 救出作戦(21〜30話)
以下、原作勢による全10話の感想です。
※ドラマのネタバレを含みます。
おじさんアベンジャーズ、実写になると圧がすごい
まず何より良かったのが、
キム部長、ソン・ハンス、パク・ジンチョル。
▶ 『エージェント・キム』前半4話の感想はこちら
原作でも十分おかしいんだけど、実写になるとさらにおかしい。
画面にいるのが全員、
「普通のお父さんです」という顔をした国家災害級人物。
キム部長は、もう完全にリーアム・ニーソン。
娘に手を出した瞬間、相手の寿命がエンドロールに入るタイプ。
ジンチョルはランボー。
この人だけ戦闘シーンになると、周囲のジャンルが急にベトナム戦争になる。
そしてハンス。
武器を持ってないから一番安全そうに見えるけど、
この人の場合、足が武器なので何も解決していない。
むしろ武器を取り上げるという安全対策が存在しない。
PTJ版おじさんアベンジャーズである。
しかも全員、子どもの話になると急にただの父親になる。
世界情勢をひっくり返せそうな男たちが、
「うちの子が」
と言った瞬間だけIQではなく親バカ指数が急上昇するの、ほんま好き。
意外と好きだったカン・ググチョル
そして地味にツボだったのが、特任局のカン・ググチョル。コードネーム・オケラ。
名前からして扱いが若干ひどい。
最初はまあ嫌なやつで、キム部長を「絶対捕まえる」と追い回す。立ち位置としてはほぼ銭形警部なんよね。
でも考えてみたら、北朝鮮出身で国家機密まで抱えてるキム部長を警戒するのは、国家職としてむしろ普通。
みんながキム部長に理解ありすぎたら、それはもう国家機関じゃなくてファンクラブになる。
しかも最後、ミンジにはちゃんと優しい。仕事では追う。でも人としての情はある。
嫌なやつだけど、根っこまでは腐ってない。
こういう人、物語に一人いるとめちゃくちゃ効く。
シーズン1みてたらほんまこいつイイキャラなんよな、、、北朝鮮編もいい味だしてるし
シーズン1の室長、ほんまええねん。
てかこの室長、高橋一生に似てない?
気のせい? そうかスマン。
私が高橋一生好きやから、脳が勝手に寄せて見てる可能性はある。
でもそれを差し引いても、室長かっこよすぎん?
やっぱスーツよな。
派手に暴れるタイプでもないし、糸目で静かに立ってるだけなのに、出てきた瞬間「あ、仕事できる人来た」って空気になる。
しかも「俺、強いですよ」感を一切出さず、漂うのは必要なら処理します感。
『部長K』って、イケメンをキラキラで見せないのもいい。
スーツ着る。立つ。以上。
それでかっこいい。
素材に自信がある料理屋みたいな出し方するやん。
私の中では、やっぱりシーズン1室長が完成形。戦闘なくてもいい。スーツで書類持って出勤してくれたら、それでいい。
そんで、あのジンチョル戦の顔面魚拓がなかったのだけは不満(ひどい)
VSハンスで強キャラ感もみたかったんよなー、あの、海外レベル的なやつ。
ハンスだけ、演出の正解が最後までわからない
そしてハンス。
この人だけはドラマを見ながら何度も思った。
私は今、どういう目で見たらいい?
もちろん強い。テコンドーの伝説。そこはわかる。
ただ、ハンスのシーンだけ妙にスローモーションが多い。
登場する。スロー。
避ける。スロー。
たぶん制作側としては「ここ、めちゃくちゃカッコいいところです」なんだと思う。
でも私はずっと、
「ここ笑っていいとこ? カッコいいって思うとこ?」
となっていた(笑)
キム部長とジンチョルが兵器寄りすぎるから、制作側が「このへんでイケメン枠入れとくか」となった結果なんだろうか。
実際イケメンなんだけど、毎回ちょっとだけ、
「あ、またハンスだけMV始まった」
と思っていた。
ハンスはもっと「絶望感」がほしかった
あとハンスといえば、北朝鮮側のあいつ。
過去編でテコンドーを通じて因縁ができた相手がいるやん。今回それっぽい匂わせがあったから、「出る? ついに出る?」と勝手に身構えていた。
……出てきたのはレスリングだった。
そこ、あいつ出したれよ。
しかも相手がレスリング使いだからか、ハンスまで「昔、柔道もやってたので」と言い出す。
いやもう、「極真やってました」でええやん。
まあ武道全般のハンスなので、「でしょうね」で終わるんだけど。
ただ、戦闘自体は少し物足りなかった。
弱くない。めちゃくちゃ強い。でもハンスに欲しいのって、「強いですね」じゃないんよ。
キム部長には「強っ、かっこよ」がある。ジンチョルには「いや規格外すぎるやろ」がある。
ハンスにはもっと、相手が構えた時点で「あ、終わった」と思うような絶望感がほしい。
原作のハンスって、強いを通り越して性格悪いくらい容赦ない瞬間があるやん。あの鬼畜感をもう少し見たかった。
まぁシーズン1はあれ隠してるからこれはこれで正解だったのかもしれん…
だったらあの、シーズン1の、VS室長のハンスでもよかった。ミンジを一人で助けに行って負傷、そのまま室長戦なら、それはそれで見たい。
要するに、普通に強いハンスでは足りない。何かしら振り切れていてほしい。
ミンジ救出編だけだと思ったら、過去編が生えてきた
そして原作読者として一番テンションが上がったのがここ。
過去編を入れてくれたこと。
ドラマでは現在のミンジ救出を進めながら、キム部長のコードネーム66をめぐる過去や、パク・ヨングァン、リ・ウンリョンとの因縁、キム部長・ハンス・ジンチョルが昔からつながっていたことまで少しずつ差し込んでくる。
これがもう、
原作勢に対するサービスとしてかなり強かった。
特に「3人がなぜこんな関係なのか」という部分を、単なる“昔の仲間です”で終わらせず、過去の任務まで見せてくれたのが嬉しい。
原作の過去編って、キム部長だけじゃなく、
このおじさんたちは、どの段階で普通の人生を踏み外したのか
を見る話でもあるんよね。
ただし、本人たちは踏み外したという自覚があまりない。
ジンチョルなんて人生の選択肢に「就職・結婚・戦争」が同じテンションで並んでそうだし、
若い頃あれだけ華やかな技を追ったハンスが、後年息子には「華やかさを捨てろ」みたいなこと言う。
自分が若い頃に散々やったことほど、子どもには「やめとけ」と言う。
これぞ親である。
そして7話、ついにミンジ救出
ミンジと再会するところは、もうアクションも原作再現もどうでもよかった。
お父さん、よかったな……。
何人殴ったとか、国家機密が何個漏れたとか、道路交通法を何回無視したとかは一旦置いとこう。
娘、救出。めでたし。
ただ私はここで、「あれ、ミンジ救出終わってもた。あとは後日談か?まだ2話あるぞ」と思っていた。
まぁ、金歯が生きてたから、あいつ出すのかな、まさかあいつがシーズン1のラスボス??とか
甘かった。
普通の父親なら娘を救出したら家に帰る。
キム部長の場合、娘を救出したあと国家案件が始まる。
北朝鮮編の匂いがした瞬間、原作勢は正座する
そして目覚めたら北朝鮮。
あの引き、原作勢ならピンときた人いると思う。
これ、北朝鮮編の監獄のあの感じやん。
ということは、ダニョル来る?
ここから私は勝手に正座。
北朝鮮という単語が出るたび「来る?」、人影が出るたび「ダニョル?」、違ったら「違った」。
完全に宅配便を待っている犬。
ドラマ側は何も約束していないのに、原作を知ってるせいで勝手に期待してしまう。
オタク、存在しない予告編を脳内で作るのが得意すぎる。
ただし最後の2話、ちょっと「まだあるん?」とは思った
ここは好きだからこそ言いたい。
最後の2話、ちょっと蛇足感あった(笑)
北朝鮮、亡命、国家、裏切り、キム部長の過去まで広がって、「国家対キム部長」くらいの気持ちになったあと、再びジュ・ガンチャンの復讐と子どもたちの人質事件へ戻る。
一回ラスボス戦を終えたあと、最初の村ボスが第二形態で出てきた感。
もちろんハンスの息子テフン、ジンチョルの娘ダビンまで巻き込まれて、3人の父親全員に戦う理由ができる構成はわかる。
でも心のどこかでは思ってた。
「お父さんたち、もう帰ろ?」
みんな疲れてる。私も疲れてる。国家もたぶん疲れてる。
一旦ファミレス行こ。
それでも見てしまうのは、結局この3人が好きだから
それでも最後まで見てしまう。
理由は単純で、この3人が並んでいるだけで面白い。
ハンスとジンチョルが言い合い、キム部長が「はいはい」みたいな顔をしているのに、敵が出た瞬間だけ殺気の方向が一致する。
普段の意見は合わないのに、子どもの敵だけは満場一致。
国際政治より家庭内政治の方が団結が早い。
最強なのに子どもには弱いし、たまに精神年齢が中学生になる。
このアンバランスこそ『部長K』なんよ。
最後の最後で、ハンスが全部持っていった
そしてハンスといえば、スーツで戦う天外天編。
あれは好きだけど、さすがにドラマでは見られんやろなと思っていた。
……と思ったら最終回、スーツで出てきた。
なんでやねん!!
と思った次の瞬間。
引っ越しの手伝いやった。
お前はどういう感情で、友達の引っ越しにスーツを選んだんや。
手伝う気ないやん。段ボール持つ服ちゃうねん。
最後までカッコいいのか笑うところなのか判断させてくれない。
やっぱりドラマ版ハンス、私に感情の正解を一度も教えてくれなかった。
最後は「死んだことにします」で自由になるキム部長
最終的にキム部長は、コードネーム66としての自分を“死んだこと”にして、新しい人生へ。
納骨堂で悲しむミンジの前に普通に本人が出てきた時は、
ですよねー。
にしかならんかったけど(笑)
それでも、キム部長がずっと欲しかったのは最強の肩書きでも国家からの評価でもなく、ただミンジの父親として生きることだったんよね。
国に名前も人生も使われた男が、死ぬことでやっと普通に生きられる。
皮肉が効いている。
特殊工作員、退職方法まで特殊すぎる。
そして白虎斡旋所
……と思ったら最後。
白虎斡旋所。
でたーーーー!!!!
ってなった人、手あげて。
これ続くってこと? いや期待したらあかん。匂わせだけの可能性もある。
でも逆に言えば、
我々が布教しまくったらシーズン2の可能性もあるってことやん?
……ないか?
いや、あると思いたい。
イ・ドギュは後ろ姿だけ。それでも十分。
そして最後のキム部長のあの構え。
でたこれ。
やっぱりキム部長は、あれでないと。
白虎人材を出して、イ・ドギュを匂わせて、最後にあの構えまで見せる。
これで「続きはありません」は罪深い。
Netflixさん、こちらは期待する準備だけできています。
まとめ|ドラマ版『部長K』は、原作ファンほどニヤニヤする作品だった
全10話を見終えて思うのは、単なる「娘救出アクション」で終わらせなかったのが一番良かった。
ミンジ救出、コードネーム66、3人の過去、北朝鮮、リ・ウンリョン、そして白虎人材。
10話しかないのに、原作ファンが反応する餌を撒きすぎ。
私はだいたい全部食べた。
最後の2話は「そこまでやらんでもよかったんちゃう?」と思いつつ、白虎人材が出た瞬間には結局、
「で、シーズン2いつ?」
となっている。
人間、弱い。
オタクはもっと弱い。
次があるなら私はまた見るし、北朝鮮方面に人影が映るたび、またダニョルを待つと思う。
正座で。
国家機密より先に、私の半月板が犠牲になる予定である。
ドラマの続きは原作47話から|白虎斡旋所とは?
ドラマ最終話で登場した白虎斡旋所と、後ろ姿だけ映ったイ・ドギュ。
原作では、ここから先もまだまだ続きます。
白虎斡旋所の面接シーンは原作47話あたりから。
その後も京城会、北朝鮮編、江原道編へと続き、当サイトでは最新話まで追っています。
▶ 『部長K』あらすじ・ネタバレまとめ
▶ 北朝鮮編 完結(81〜86話)
日本語版はebookjapanで読めます。
ドラマの「あの構え」の続きが気になった人は、原作47話あたりからどうぞ。
あわせて読みたい|PTJユニバース
『部長K』も『コードネーム:バッドロー』も、同じ作者が描く同じ世界の話です。








