『兄だったモノ』はどんな漫画?業として描かれるBL×心理ホラー
幽霊よりも、人間の執着のほうが怖い。
これは、愛と支配の境界線が静かに壊れていく物語だ。
この記事では、『兄だったモノ』がどんな漫画なのかを、あらすじ・登場人物・作風の特徴から整理します。
怖さの方向性やBL要素の立ち位置、向き不向きも含めて解説するので、読む前の判断材料として使ってほしい。
ネタバレは極力避けつつ、作品の空気感が伝わる構成でまとめています。
- 人間の「善悪がぐちゃぐちゃな話」が好き
- ホラーより心理のほうが怖いタイプ
- BLが「甘さ」じゃなく「業」として描かれる作品が好き
- 文学モチーフ(山椒魚・藪の中・嫉妬)が刺さる

1つでも当てはまったら、たぶん向いてる
『兄だったモノ』概要
| 連載掲載/出版社 | GANMA! 連載作品 |
| 作者 | マツダミノル |
| ジャンル/キーワード | 心理ホラー/サスペンス/人間ドラマ/執着/狂気 |
| 配信サイト | ブックライブ、GANMA! ほか |
兄だったモノは、兄の死をきっかけに始まる歪んだ関係性を描いた心理ホラー作品で、GANMA!で連載されている。
幽霊の存在そのものよりも、人間の執着や感情の崩壊がじわじわ迫ってくる点が特徴だ。
作者のマツダミノル氏は原作・作画を兼任。
説明を削り、「沈黙」や「余白」で読者の感情を追い込む表現に定評がある。
なお、単行本の後書きは本編との温度差で情緒が少しバグるので要注意です(褒めてる)
あらすじ
亡くなった兄の恋人だった男。
その人物に惹かれていく妹。
そして、その男の背後に現れる異形の存在。
物語の主人公は女子高校生・鹿ノ子。
彼女は、病死した異母兄・騎一郎の墓参りをきっかけに、
兄の恋人だった青年・聖と再会します。
穏やかで、優しくて、どこか儚げな聖。
けれど鹿ノ子には見えてしまう。
――聖の背後に、
兄の面影を持つ異形の存在「兄だったモノ」が憑いていることを。
当初、鹿ノ子は
兄を奪った存在への「復讐」という歪んだ動機で聖に近づきます。
しかし、聖の抱える過去、
彼を蝕む呪いの正体、
そして兄・騎一郎の“知らなかった顔”を知るにつれ、
彼女の感情はゆっくりと変質していくのです。
これは、
幽霊の話ではありません。
人が人に執着しすぎたとき、
何が生まれてしまうのか
その過程を描く、静かな心理ホラーです。
あらすじ要点まとめ
- 亡き兄の恋人・聖に近づく女子高生・鹿ノ子
- 聖の背後に見える異形の存在「兄だったモノ」
- 見える人と、見えない本人
- 復讐から“守りたい”へ歪んでいく感情
- 明かされていく兄・聖・鹿ノ子それぞれの執着と狂気
キャラ紹介
- 鹿ノ子
亡き兄の妹。冷静そうで一番危うい。
復讐・恋・執着が混ざり合った感情を自覚しながら進む。 - 中眞 聖(なかま ひじり)
兄の元恋人。穏やかで美しく、壊れている。
“毒を持つ鈴蘭”と呼ばれる理由は、後に骨身に染みる。 - 東雲 騎一郎(しののめ きいちろう)
鹿ノ子の兄。故人。
優しい兄の仮面の下に潜んでいた「修羅」。 - 南 カンナ
騎一郎の元恋人。
理性枠かと思いきや、ちゃんと地獄を見てきた人。 - 藤原 頼豪
僧侶兼デザイナー。
怪異を“感情の構造”として見る、希少な冷静枠。 - 西迫 正義
聖の元恋人。
執着の形が分かりやすくて、逆に一番人間らしい。 - 犬上 静真
聖の担当編集者。
「信仰」と「狂信」は紙一重だと教えてくれる存在。 - 鬼頭 虎次郎
後半から現れる現代アーティスト。
他人の不幸を“作品”として消費する地獄。 - ゴンちゃん
謎の少年。
この物語の“均衡”を壊すキーキャラ。
この作品、
誰か一人を「まとも」だと思ったら負けだからね。
文章で全体像を言うと、
全員が「被害者」であり「加害者」。
見どころ
「静かすぎる狂気」──叫ばないホラーがいちばん怖いんよな
『兄だったモノ』の恐怖は、血や絶叫ではなく、感情がゆっくり壊れていく過程にある。登場人物はほとんど声を荒げず、説明も多くない。それなのに、読み進めるほど胃の奥が冷えていく。
兄の「優しさ」が実は支配だったと気づく瞬間。聖の穏やかさが、深い自己否定の仮面だと分かる瞬間。鹿ノ子の決意が、愛なのか執着なのか曖昧になっていく瞬間。
この作品はジャンプスケアではなく、共感した読者の心を少しずつ削っていく“精神摩耗型ホラー”だ。「分かってしまう」こと自体が恐怖になる構造が、強烈な余韻を残す。
聖という存在──「毒を持つ鈴蘭」の完成度
聖は中性的で穏やか、優しくて受け身。いかにも守られ枠に見えるが、その本質は「相手の望む自分を演じることでしか存在価値を感じられない人間」だ。
好かれるために壊れ、守られるために弱くい続け、愛されるために自分を削る。それを本人が「普通」だと思っている点が、何よりも危うい。
だから周囲の人間は善意で近づき、結果的に支配してしまう。聖は“守りたくなる存在”ではなく、“守りたい欲そのものを壊してくる存在”。この破滅誘発型のキャラクター性が、強烈に刺さる。
全員クレイジー、なのに否定できない構造
この作品では、登場人物全員がどこか歪んでいる。しかし同時に、全員の感情が理解できてしまう。
兄の「失いたくない」、聖の「赦されたい」、鹿ノ子の「奪いたいけど守りたい」。どれも人間が持ち得る感情だ。ただ、この物語では誰もそれを抑えきれなかった。
結果として怪異が生まれ、関係が歪み、破滅の連鎖が止まらなくなる。読者は否定と共感の間で揺さぶられ、「理解してしまう自分」まで試される。そこが、この作品最大の恐怖であり魅力だ。
読者レビューまとめ
――「刺さる人には致命傷。合わない人には重すぎる」
『兄だったモノ』は、
ハマる人と離脱する人が、はっきり分かれる作品。
実際の読者レビューを読み解くと、
評価が割れる理由もかなり明確なんだよね。
- 続きが気になって止まらない
- 心理描写が異常にリアル
- 幽霊より人間が怖い構造
- 静かなのに緊張感が途切れない
- キャラ全員に闇があって読み応えがある
- 視点が揺らぐ構成が面白い
- 文学的モチーフが考察欲を刺激する
- 絵がシンプルだから想像力が掻き立てられる
- 演劇や舞台を観ているような感覚になる
- 読後に「怖い」より「痛い」が残る
- 話の進みが遅く感じる
- 重くて精神的にしんどい
- 明確な答えが出ないのがモヤモヤする
- キャラの行動に共感できない
- 性的トラウマ描写がきつい
- 中だるみしていると感じる
- ホラー表現が多くて疲れる
- 絵柄が好みじゃない
- ジャンルが分かりにくい
- さくっと読める話ではない
レビュー総括(まとめると)
- 一本道のホラーやBLを求める人には不向き
- 心理描写・考察・余白を楽しめる人向け
- 読者自身の価値観やトラウマに触れる可能性あり
だからこそ、
「怖いけど面白い」じゃなく
「しんどいのに読むのをやめられない」
というレビューが量産されている作品。

面白いかどうか”より先に、“耐えられるかどうか”が問われる漫画だと思う

重いのではない。読者の心に近いだけだ
感想:これは「怖い漫画」じゃない
これ、
幽霊の話じゃない。
恋愛の話でもない。
ホラーですら、たぶん違う。
これは
「人が人に執着した結果、何が壊れるか」の記録。
読んでて一番しんどかったこと
誰か一人だけが悪いわけじゃないところ。
- 聖は被害者だけど、同時に加害者
- 騎一郎は愛してたけど、支配もしてた
- 鹿ノ子は守ろうとして、壊していく
全員、間違ってる。
でも
全員、そうなる理由がある。
これがもう、逃げ場なくてきつい。
怖かったのは「怪異」じゃない
ゾッとするのは、
「この人たち、現実にいそうだ」と思った瞬間だった。
相手のためと言いながら、自分を満たしてしまう人。
過去の傷を理由に、他人を縛ってしまう人。
愛と支配の区別がつかなくなった人。
フィクションなのに、感情の動きだけは驚くほど現実的だ。
だからこの作品は、幽霊よりも人間のほうがずっと怖い。
それでも読んでよかったと思う理由
読後にスッキリはしない。
救われたとも言えない。
「よかったね」で終われる話ではない。
それでも、
「分かりたくなかった感情を、分かってしまった」
この感覚が、強く残る。
たぶんこの作品は、読者を癒すつもりがない。
ただ静かに、
「あなたの中にも、同じものがあるよね?」
と差し出してくるだけだ。
管理人の結論(嗜好全開)
これは
✔ 元気なときに読む漫画じゃない
✔ さくっと消費する娯楽でもない
でも、
- 心理描写が好き
- 人間の歪みが描かれた作品が刺さる
- 「正しさ」より「本音」を見たい
そんな人には、
確実に一生残る一作。
私は正直、
「好きです」って言うのもちょっと怖い。
でも同時に、
こういう漫画に出会えるから、読むのをやめられない
とも思った。
『兄だったモノ』どこで読める?無料?
結論から言うと、
『兄だったモノ』を読むなら ブックライブ がいちばん相性いいです。
完全無料では読めない。
ただし、多くの電子書店で試し読みあり。
その中でもブックライブは
- 初回70%OFFクーポンあり
- 試し読みが比較的多め
→ 損せず始めやすい。
ブックライブがオススメな理由
- まとめ買いなら割引が効く
- 試し読みで雰囲気確認できる
- 配信が安定していて途中で困らない
👉 迷ったらブックライブでOK、それだけ。
この作品、軽い気持ちで読むと刺さる。
だから「試せて、続けやすい」環境が向いてる。
まとめ
『兄だったモノ』は、
“読む人の心の弱いところを、静かに引っ掻いてくる漫画”
優しくない。
分かりやすくもない。
でも、嘘はつかない。
だからこそ、
刺さる人には
「あ、これ私の話だ」ってなる。
この漫画は、誰にでもおすすめできない。
だからこそ、刺さる人には唯一無二。
ここまで読んで
「ちょっと怖いけど、気になる」って思ったなら、
もうそれ、適性ありです。
❌ こういう人には、たぶんしんどい
- ハッピーエンド確約じゃないと無理
- キャラに「正しさ」や「救い」を求めたい
- テンポ命、説明命
- 闇・性・トラウマ描写が苦手
- BLは「癒し」だけ欲しい
- 登場人物全員に
「いや、君も悪いよね?」
って思いたくない
これはもう、向き不向き。
作品が悪いわけじゃない。
関連おすすめ作品ま
これは幽霊譚ではない。
人を想いすぎた感情が、かたちを持ってしまった物語だ。
「愛しすぎた感情が、怪異として残ってしまう」
そんな静かで逃げ場のない物語が刺さる人へ。
■ 近畿地方のある場所について
怪異の正体は幽霊ではなく、「人の念が積み重なった結果」。
見える・見えないの差によって生じる恐怖とズレが、
この作品の関係性と強くリンクする
■ ノウミソシェアルーム
直接的な怪異ではないが、
“人の内側に閉じ込められた存在”を描く点で共通項が多い。
守りたい気持ちと、壊したい衝動が同時に存在する関係性が刺さる人向け。
■ 境界のメロディ
死者と生者の“境界”に取り残された関係を描く物語。
幽霊そのものよりも、
「残された側が前に進めないこと」の痛みが主軸にある点が似ている。

